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小川島
【おがわじま】


東松浦郡呼子(よぶこ)町にある島。面積0.92km(^2),人口881(昭和55年)。呼子港より約6km北方の玄界灘の離島で定期船で約35分。玄武岩の溶岩台地で最高点で60.6mの低平な地形を成す。「松浦拾風土記」によれば,「唐津より七里戌亥に有る小島なり。往古は無人島にて,島中に池あり。竹林に大牛ありて人を寄せざる由,その牛死して後,池も埋み,追々人住み島となり,鯨組相続にて繁昌なり。享和年中民家百二十戸に及ぶ。寺沢公唐津城御受取りの頃,鯨組思し召し玉へども漁師なき故,紀州熊野浦へ漁夫雇ひに遣されし御状,呼子浦へ所持の者あり。其後,兵庫頭,加賀守末々に成りて,其業を成す者諸方より来り」とある。往古無人島とあるが,島内から貝塚や縄文晩期の石鏃・石錘などが発見され,貝塚遺跡からは抜歯の人骨も出土し,古くから人が居住していたことが立証された。この島が世に知られるようになったのは,16世紀末以降捕鯨の基地になってからである。小川嶋捕鯨大意書によると,小川島の捕鯨業は文禄年間,唐津藩主寺沢志摩守が創始し,当時は突取り捕獲の漁法であったが,宝暦13年に網取り捕獲に変更したと記している。網取りによる捕鯨法が導入され,藩の保護を受けて小川島の捕鯨業は,明治期まで継続された。中尾甚六の弘化4年から安政6年の記録では,捕鯨の全盛期には,年平均27頭が捕獲されている。島には藩主や藩の役人がクジラの解体を見物したという御覧所,クジラを見張った山見小屋がある。また,島内に井戸は100か所近くあるが,夏雨が少ないときは水不足が深刻で,そのため現在離島振興法による水道管敷設工事がなされている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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