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海童神社
【かいどうじんじゃ】


佐賀郡川副(かわそえ)町大字犬井道(いぬいどう)にある神社。旧郷社。祭神は表津綿津見(うわつわだつみ)命・中津綿津見命・底津綿津見命の3海神。創建は中世末期と伝えられる。筑後国に蟄居していた竜造寺隆信が,天文23年佐賀城に復帰しようとしたとき,犬井道の漁夫らがこれに協力し鹿江崎に上陸することができたので,隆信はのちに代官成富信種に命じてこの地の防潮堤を改修して,その鎮護として海神3柱を奉祀したと伝えられる(県神社誌要)。この由緒は,佐賀平野が干拓によって拡張していく過程を物語っており,現在は内陸部になっている犬井道も400年以前には有明海の沿岸であったことがわかる。海童神社は水難転除・五穀豊饒の神であり,海神竜王に童形の海童をあてたものである。海童神社は海をつかさどる神として,当社以外にも有明海沿岸に点在しており,同質の神社と思われる沖神社などを入れると,その数は合計20社を超える。このことは,干満の差が大きく,台風の通路にあたり,しかも,沿岸標高が低いという有明海,およびその周辺地域がもつ地理的環境が,住民に独特の海神信仰をつくり出させたものである。有明海の竜神は沖ノ島とよばれる岩礁に鎮座するとして,海童神社を祀る郷村からは,夏ごとに「沖ノ島参り」が繰り出されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216402