100辞書・辞典一括検索

JLogos

10

花納丸古墳
【かのうまるこふん】


佐賀市久保泉町川久保にある古墳。帯隈山神籠石西方に築成されている関行丸古墳前方部の前面に近い,道路を隔てて約50mの所が花納丸と称されており,当古墳はここに所在したものと推定される。天保11年古墳は破壊されており,その構造は明らかでないが,ここから出土した変形文鏡1面,三環鈴1個,碧玉製管玉12個が佐賀県立博物館に収蔵されている。この古墳について,江戸期肥前の漢学者であった草場佩川が記し,遺物については古川徳基が模写した木版刷りの記録が残っている。変形文鏡は面形9cm,内区には小乳を囲んだ双脚文が7個めぐる。三環鈴は,外径3.8cmの環に直径2.7cmの鈴が1個ずつ三方についている。管玉はいずれも碧玉製で,孔は片側から穿たれている。これらの遺物は5世紀代の副葬品の特徴を示す貴重な例で,中でも三環鈴は県内では関行丸古墳の1例しか出土例がなく,また九州でも10数例を数えるだけで,相互の交流をうかがわせる貴重な資料である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216480