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九沙島
【くさしま】


旧国名:肥前

(中世)室町期に見える地名。松浦郡のうち。「海東諸国記」に「義永,丙子年遣使来朝書称肥前州上松浦九沙島主藤原朝臣筑後守義永受図書約歳遣一船,小二殿管下居波多島,人丁不過十余」と見える。この「九沙島」とは草野荘のこととされている。中世文書に「草野荘」の荘名は見えないが,「諏訪社縁起」に「肥前国上松浦郡草野荘浜崎之諏訪大明神者,延暦年奉勧請所也」とあり,また「河上宮記」にも「肥前国上松浦郡草野荘平原村」と見える(荘園志料)。草野荘は唐津(からつ)市および東松浦郡浜玉(はまたま)町・七山(ななやま)村の地域に比定されるが,この地域はまた,鏡荘・萱野荘と呼ばれる地域にも合致しており,正応5年8月16日付河上宮造営用途支配惣田数注文に「松浦東郷鏡御領三百九十八丁四反三丈」と見える「松浦東郷」の地域でもあった(河上神社文書/佐史集成1)。その相互の関係については不明。「吾妻鏡」文治2年12月10日条に肥前国鏡社宮司職を草野次郎大夫永平に定補する旨が見られる。草野氏は本来,筑後国を本貫地とするが,以来この地に草野氏が土着,これが草野荘成立の契機となったものと推定される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216777