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久里田島遺跡
【くりたじまいせき】


唐津(からつ)市柏崎字田島にある遺跡。柏崎貝塚や大深田遺跡のある柏崎段丘とその西の割石丘陵の中間は現在水田になっているが,もとは田島段丘が北へ延び,昭和5年に報告された久里貝塚が存在していた。この段丘上からは縄文時代晩期から弥生時代後期にかけての遺物が多数発見され,長期にわたって集落が営まれたことが知られる。昭和53年末から54年初めに,遺跡の南端部,舌状の田島段丘の付け根部の調査が実施された。その結果,段丘東斜面では弥生中期から古墳時代前期の竪穴住居址・袋状竪穴(貯蔵穴)・柱穴が,また中央部の溝状遺構からは縄文時代晩期の夜臼式から弥生時代前期の板付Ⅰ・Ⅱ式土器,各種の木製品と石器が検出された。甕棺墓(16基),土壙墓(2基)は中央部から西斜面にかけて検出。甕棺は弥生中期後半から後期前半のもので,6号からは中国前漢代の日光鏡が副葬されていた。溝状遺構出土の木器は蛤刃石斧を着装する柄部の未製品で,加工の各工程が知られ,平鍬の未製品とともに唐津地方における木器生産活動を示す初例である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216832