100辞書・辞典一括検索

JLogos

8

塩吹村
【しおふきむら】


旧国名:肥前

(近世)江戸期の村名。藤津郡のうち。塩田(しおた)川中流の左岸に位置し,川沿いにわずかな平地がある。村名の由来は,かつて有明海の潮の干満は当地まであり,巨鯨がさかのぼって潮を吹き,住民を驚かせたことにちなむという(塩田郷土誌)。蓮池(はすのいけ)藩領。塩田郷に属す。村高は「正保国絵図」「天明村々目録」ではともに83石余,「天保郷帳」では95石余。「旧高旧領」には村名が見えない。村絵図によれば,長崎街道は塩田川には橋がなく陸渡りであったにもかかわらず,当村と対岸の美野村との間には長崎街道から見えない場所に潜水橋(石橋)が架けられていた。用水は主に鍋野川と溜池から取水したが,塩田川沿いの平地は塩田川から取水。寺院は,浄土真宗本願寺派唐渡庵があった。その付近の岩窟から銅製の経筒が出土し,また背後には城跡と考えられている城山がある。江戸後期の村絵図によれば,集落は塩田川流域にあり,20数軒の家が見える。集落の周囲は畑地。集落内に小道が数本走り,ほかに塩田川に沿って延びる道がある。南部の山すそに天神がある。「明治7年取調帳」では馬場下村の枝村として見える。「明治11年戸口帳」によれば,馬場下村のうちに「塩吹村」と見え,戸数60・人口293。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7217118