100辞書・辞典一括検索

JLogos

55

正定寺
【しょうじょうじ】


佐賀郡川副(かわそえ)町大字南里(なんり)字西南里にある寺。浄土宗。医王山と号す。本尊は阿弥陀如来。天平年間九州諸国に疫病がはやり,旱魃洪水なども重なって多くの死者が出た。当時九州にあった行基に法救を乞うたところ行基は流木の樟樹から7体の薬師像を刻み,川副の7か所に安置した。その後疫病は止み,災害もおさまったという(肥前古跡縁起)。のち聖武天皇により先の7か所に堂宇が建立され,宝祚延長・一天太平の勅願所とする旨の綸旨を賜うという(佐賀郡誌)。往古は法相宗で不退寺と号したという。「蓮門精舎旧記」には「医王山不退院,開山満恵願海上人,暦応元戊寅年六月十四日遷化」と記す。文明元年より天正年間に至り少弐家,竜造寺家により堂宇を修建され,寛永20年には鍋島勝茂によって再建が行われ,勝茂から一国一派の法頭職たる証状を受けている。徳川家歴代および鍋島家の尊牌を安置しており,毎年鍋島家から供養料を下付されていた。近世の黒印地は1町7反余(寺社差出)。境内には元亀元年今山の戦の際,敵将大友親貞を討ちとった竜造寺隆信の家臣成松刑部信勝の墓がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7217253