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新眼鏡橋
【しんめがねばし】


有田(ありた)川に架かる橋。西松浦郡有田町の中央部,町役場から国道35号を東へ250mの所にある。現在の橋は眼鏡橋でなく普通の橋である。長さ24.6m,幅9m,昭和43年3月完成した。ここに最初架けられた橋が眼鏡橋であったのでこの名が残る。最初の橋は安政の初め架けられたという(肥前陶磁史考)。そのころ有田は鍋島藩領で有田皿山と呼ばれた。橋付近の岩谷川内(いわやごうち)から泉山までの谷には200余りの窯が散在し,陶工・陶商などを含め1,000軒余りの人家があった。文政11年8月9日,大暴風雨に見舞われ,岩谷川内の窯から出火した火災が有田皿山全山に広がり,140戸ほどを残して焼け,50余人の死者も出た。死者が多かった原因は,有田皿山に橋がなかったためという。そこで,岩谷川内の質屋正司碩渓が藩に陳情,許可を得て自ら監督し,堅固な眼鏡橋を造ったという。この眼鏡橋が有田で最初に建設された橋で大正末ごろ(2代目の橋が大正15年10月に完成した)まで重要な役割を果たした。初代の眼鏡橋は,中央部が膨らんでいたため,焼物を積んだ馬車や大八車があえぎながら渡っていた。積荷を満載した車は渡りきれず,橋のたもとで積荷を減らして車を先に,車引きが荷を担いで後から渡ったという(古老談)。今,橋を渡る国道35号は交通量も多く,そのバイパスも開通している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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