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田野上
【たのうえ】


旧国名:肥前

田上村・田之上村とも書く。廻里江(めぐりえ)川上流,杵島(きしま)山南部の飯盛(いいもり)山東麓から東部に広がる平坦地に位置する。古墳時代以降に有明海が自然陸地化した地域と考えられる。地名は入江の水で田を作ったので田野江と呼ばれ,それが田野上に転化したと伝えられる。飯盛山の東部山腹の臨済宗福泉寺は杵島山の古刹で,平安期は真言密教修験場であったが,鎌倉期に臨済宗禅寺として開山(肥前古跡縁起)。執権北条時頼開基と伝える(当山由来伝記)。本山は京都東福寺,末寺83寺のうち7寺だけが現存。七堂伽藍の石垣が残存。平安期の歌人和泉式部生誕地と伝えられ(当山由来伝記),和泉式部自筆の歌「故郷似帰留衣農以呂具智て 錦の浦やきしまな頼良武」の色紙を秘蔵。和泉式部が上洛して宮殿に奥仕えした際に,故郷錦の浦を思い出し歌ったと伝える(肥前古跡縁起)。山門の仁王門に室町期の作と推定される2体の金剛力士像を安置。
田野上村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
田野上(近代)】 明治22年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7217615