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誕生院
【たんじょういん】


鹿島市大字納富分(のうどみぶん)字行成にある寺。単立(旧新義真言宗別格本山)。密厳山と号す。この地は新義真言宗の開祖覚鑁(興教大師)生誕の地。明徳年間に足利義満の発願により,応永12年に開創し,根来山大伝法院の末寺となる。応永19年の山城北野社一切経供養に際し,当寺の定心は右筆として同年5月29日に五分比丘尼戒本を,6月3日には四分比丘尼戒本を北野宮寺で書写している(北野社一切経/大日料)。しかし永禄元年,大友氏の兵火にかかり焼失し,長らく廃絶していた。寺跡は覚鑁開基の蓮華院の管理であった。鹿島藩第4代鍋島直条は元禄3年に興教大師碑建立を企てたが,果たせず(鹿島志)寛政年中に三如庵を建てた輪海法師により中興された。大正2年鍋島直彬によって復興事業が起こされた。本尊は,大師が高野山で迫害にあった時の身代わり不動と呼ばれる錐鑚不動尊。境内に大師の使ったという産湯の井,胞衣塚がある。寺宝の絹本着色八字文殊菩薩騎獅図は南北朝後期作といわれ県重文。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7217640