100辞書・辞典一括検索

JLogos

29

西唐津海底遺跡
【にしからつかいていいせき】


唐津(からつ)市西唐津築港の海底にある遺跡。昭和25年,唐津湾に突き出た大島の南岸に近い水深約1.5mの海底の掘削中に発見された。遺跡は旧砂浜に形成された貝塚で,波による浸食作用の結果海底に散布したものと推定される。遺物は縄文時代早期から中期にかけてのものが主で,貝殻混じりの砂層中に包含されていたことが確認されている。出土遺物は縄文時代早期の爪形文土器や隆線文土器の他,前期の曽畑系土器・中期の阿高系土器があり,これらの土器に伴って磨製石斧・石槍・石鏃・石鋸・石匙・石錘や,骨針・骨製尖頭器・有孔骨製品・牙製勾玉等も出土した。その中でも前期に編年される曽畑系土器は,幾何学的な特異な文様構成と多量の滑石粉末を混入するという製作技法から九州における縄文土器の編年上,その初期の形態を有するとされる西唐津海底遺跡出土の曽畑系土器が編年の基本をなすものとされている。また,その分布を地理的条件から朝鮮半島のクシ目文系土器群に求めるならば,縄文時代前期における朝鮮半島との交流の状況をも知るに可能な遺跡・遺物といえ,佐賀県を代表する縄文時代の遺跡といえる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7218036