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二塚山遺跡
【ふたつかやまいせき】


三養基(みやき)郡上峰(かみみね)村大字堤字五本谷と神埼(かんざき)郡東脊振(ひがしせふり)村大字大曲字松葉にまたがる遺跡。背振山地南麓の平野部に突出する二塚山(標高約40m)の丘陵上に位置する弥生時代の大墓地である。この丘陵上では以前から甕棺や石棺がいくつか出土して,断片的に調査されていたが,この地域に佐賀東部中核工業団地が建設されることになり,佐賀県教育委員会により,昭和48~53年発掘調査が実施された。当遺跡では尾根に沿った幅30m,長さ約150mが墓域となっており,弥生時代前期~後期にわたる甕棺墓160基,土壙墓87基,箱式石棺墓5基,祭祀遺構6か所が検出された。出土遺物としては甕棺として用いられた土器類や祭祀用の丹塗土器の他,多数の重要な文物がある。7基の甕棺墓,10基の土壙墓からは副葬品,装身具などが発見された。銅鏡は連弧文鏡,獣帯鏡など中国前漢~後漢時代の製品4面と,それらを模した小形仿製鏡2面が棺内および棺外から発見され,その他にも鉾・剣・刀などの鉄製武器,貝製腕輪,ガラス玉類が多数発見された。佐賀平野の集落の中でもリーダー的な役割を持った集落の墓地であったと考えられ,豊富な副葬品などからは流入過程など,地域間の交流を物語るものとして興味が持たれる。また出土した87体分の人骨は人類学上きわめて価値ある資料となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7218538