100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

丸山遺跡
【まるやまいせき】


佐賀市久保泉町川久保にある遺跡。背振山地が佐賀平野に向かって派生する標高約40mの丘陵の突端部に位置し,縄文時代晩期から弥生時代さらには古墳時代へとまたがる複合遺跡である。縄文時代晩期から弥生時代初期にかけての遺構は,支石墓様遺構を主としたもので18基が確認されている。この支石墓様遺構は,板状の結晶変岩を蓋石としたもので,縄文時代晩期末の夜臼系の小形壺・高坏・鉢・こけし形壺などが供献用として埋置されている。中でも丹塗壺形土器は,器面全体を赤色に塗り精製した粘土を使用して製作してあり,この土器の肩部には籾の圧痕が鮮明に残されており,縄文時代晩期末における稲作農耕の開始をうかがわせる。その他,夜臼式を含む壺棺6基と夜臼式と黒川式の甕棺2基も確認されており,縄文時代末期から弥生時代初期にかけての土器の編年や,墓制の系譜を研究するうえに貴重な資料を提供しており,移行期究明に欠かすことのできない遺跡である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7218733