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万寿寺
【まんじゅじ】


佐賀郡大和(やまと)町大字川上(かわかみ)字川上にある寺。臨済宗南禅寺派。水上山と号す。本尊は開山栄尊作と伝える不動明王。正しくは水上山興聖万寿寺と号し,俗に本尊不動明王への信仰から「水上のお不動さん」とも呼ばれる。当寺は仁治元年に東福寺開山円爾の門弟である神子栄尊によって創建された(神子禅師栄尊大和尚年譜/続群の上)九州でも初期の禅宗寺院である。中世期には水上の地の一部を寺領としていたらしく建武2年10月4日付雑訴決断所牒(河上神社所蔵文書/佐史集成1)では河上神社の社領を侵したとして訴えられたことが見える。永正14年には後柏原天皇より勅願寺にあてられている(慧日規蔵)が,当時の住持天亨和尚は竜造寺氏の出身であり,竜造寺氏の保護下にあったと考えられる。近世期には佐賀藩から地米23石余の黒印寺領を与えられ,享保19年には東西10町・南北15町にわたる境内に山門・仏殿・僧堂・開山堂・方丈・鐘楼などの七堂伽藍・寺内塔頭を備え,末寺80か寺を持ったが,明治5年の火災や排仏毀釈によって現在の規模となった。なお開山神子禅師木像は現在久留米(くるめ)市朝日寺の所蔵であるが,これを写したと伝える絹本着色の神子禅師頂相を保管する。今日も不動詣として参詣人が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7218735