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三津永田遺跡
【みつながたいせき】


神埼(かんざき)郡東脊振(ひがしせふり)村大字三津(みつ)字永田にある遺跡。背振山地から南へ派生する吉野ケ里丘陵の北部に位置し,弥生時代前期から後期にわたる墓地である。昭和28年集中豪雨のために決壊した城原川堤防復旧工事の採土地となったことから,日本考古学協会等により緊急発掘調査が実施された。調査区域内では20基以上の甕棺墓が検出されたが,それ以前に破壊されたものを含めると,100基以上の墳墓群からなる墓地であったと考えられる。県道をはさんで西南方に位置する神埼町志波屋三角でも以前に100基以上の甕棺墓などが出土しており,当遺跡の広がりと考えられる。三角を含めた三津永田遺跡からは,主に甕棺内から多数の人骨とともに,連弧文鏡・獣帯鏡・四虵鏡などの漢式鏡5面,貝釧多数,鉄釧・ガラス製玉類・鉄刀・鉄鏃・銅鏃などが豊富に出土している。また出土した甕棺のうち,新しいタイプのものは「三津式」と呼ばれる形式編年学上の標準資料となっている。当遺跡から,北方約1kmの間には甕棺墓を主とする墓地群が点在している。これら吉野ケ里丘陵北部地域では,銅鏡だけでも7面(すべて漢式鏡)が発見されており,二塚山遺跡と同様,佐賀平野におけるリーダー的な集団の墓地であるといえよう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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