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室嶋村
【むろしまむら】


旧国名:肥前

(近世)江戸期の村名。「嶋」は「島」も当てる。杵島(きしま)郡のうち。廻里江(めぐりえ)川下流右岸の平坦地に位置する。古墳時代以降の有明海の自然陸地化によって形成された地域と考えられる。佐賀本藩領。白石(しろいし)南郷に属す。北端の島形の低丘陵上に彦島大権現を祀るが,堂をムロというので,地名の由来は「オムロさん」の鎮座する島から室嶋となったと伝える。「玄梁院様配分帳」では鍋島喜佐衛門が地米高85石を知行,「大小配分石高帳」では鍋島千之丞ほか1名の知行地。村高は,「正保国絵図」「天明村々目録」では182石余,「天保郷帳」では290石余,「旧高旧領」には見えない。「宝暦郷村帳」「天明郷村帳」には小村に竜王村がある。竜王は室嶋村の低丘陵南側に位置する水田地帯。鎮守は彦島神社,寺院は曹洞宗天竜寺。米麦を主産とするほか林業を行う。水利は彦島神社境内放生池の自然湧水と低丘陵北側道祖神池の自然湧水を利用。竜王は竜王溜池を利用。享保年間小倉と長崎に通じる長崎本街道は小田宿(現江北町)で長崎脇街道と分岐。脇街道は六角宿・高町宿から室嶋村の笹山添丘を通過,百貫から古渡へ,塩田川を渡って鹿島を通って諫早(いさはや)で長崎本街道に合するコースとして設置されていた(有明町史)。竜王の鎮守は海童神社。祭礼は10月1日(旧暦8月1日)の八朔で長浜の獅子舞と室嶋竜王の面浮立を奉納。「明治7年取調帳」「郷村区別帳」では深浦村の枝村として見える。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7218893