的山
【あずち】

旧国名:肥前

古くは小豆（来島文書）・堋（元禄郷帳・天保郷帳）・垜（策彦和尚入明記）とも書いた。「元禄郷帳」によれば，古くは「あづき村」と呼んだという。壱岐(いき)水道の西方，平戸島の北方に浮かぶ的山大島の西部に位置し，玄武岩からなる台地状の地に立地し，的山湾に面する。元来この島はたんに大島と称していたものであろうが，数多くの大島と区別するため当地名を冠して的山大島と呼ぶようになったと考えられる。地内は川内と戸田の２集落に大別される。南面する的山港の背後に天道山がそびえ，その尾根が西方に延びるが，この中腹に的山川内の集落があり，また南西に延びた高地の中部から西部には的山戸田の集落が断続して存在する。地内各所から黒曜石などの石器片・土器片が採集され，特に的山戸田の馬場，的山川内の白岩溜池からの出土が多い。昭和10年代に川内のしょうぶ田（勝負田）で墓地拡張中偶然に古墳より勾玉・銅鏡の出土をみた。天道山には祭祀遺跡（岩境）が２か所見られる。本山神社下方の海岸から約２mの所には「朝鮮井戸」と称する古井戸があり，満潮時に海面と同水位になっても塩分を含まず，干潮時に減水することもない。この付近の海岸から北宋・南宋・元・明・清時代の中国製陶片が多数発見されており，中国・朝鮮との交易船の船用水として利用されていた。
【垜浦(中世)】　戦国期に見える浦名。
【的山村(近世)】　江戸期～明治22年の村名。
【的山(近代)】　明治22年～昭和48年の大島村の大字名。
【的山(近代)】　昭和48年～現在の大島村の地区名。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7219260