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一ノ瀬橋
【いちのせばし】


中島川の最上流に架かる橋。長崎市内の本河内町と中川2丁目を結び,市道が通る。橋長9.2m,幅員4.9m。径間(アーチのさしわたし)8.5m,拱矢(アーチの高さ)3.0mの太鼓型アーチ石橋(石橋物語)。江戸期,長崎と江戸を結ぶ長崎街道の入口にあたり,東方にそびえる難所の日見峠を越えて長崎入りする旅人は,ほとんど一の瀬口の茶屋で一休みした。付近の渓流はホタルの名所だったので,橋畔の茶屋を蛍茶屋と呼んだ。当橋を含むこの地域は,一の瀬口として昭和45年10月7日に市史跡に指定。ここは,西洋文明を学ぶため長崎入りする人々が必ず渡る石橋であった。創設者は中国人の陳道隆で貿易で財を蓄え私費を投じて架けた。陳道隆は姓を頴川(えがわ)と改め,頴川道隆あるいは頴川藤左衛門とも呼ぶ。承応2年に完成以来330年も続くが,昭和57年の大洪水でも被害はなかった。国道34号が約100m下流を通るので,当橋は歩行者と町内へ出入りする車しか通らない。橋の規模は小さいが,幅員4.9mは長崎の石橋群中最も広い。他の多くが幅員4.5m以下なのに当橋だけが広いのは,長崎街道の入口で,旅人や馬・駕籠の通行が多かったからであろう。一ノ瀬橋と深い縁の蛍茶屋は既にないが,市内電車の終点駅名として残り市民に親しまれている(長崎名勝図絵・長崎古今集覧・実録大成など)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7219457