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臼ノ浦線
【うすのうらせん】


日本国有鉄道の廃止線区名称。石炭積出港である臼ノ浦港の臼ノ浦駅と佐々駅を結んだ支線。昭和46年末に廃止。かつて佐々川流域の石炭は馬車や軽便鉄道で河口の佐々まで運ばれていた。河口には炭鉱ごとの貯炭場(土場(どば))があって,そこから団平船に積み沖で本船に積みかえていた。だが石炭産業はおおむね供給過剰で発展,特に昭和初期は不況が深刻だったので鉄道,港湾の整備による経費の削減と輸送力の増大が求められていた。佐世保鉄道は新しい港として小佐々村臼ノ浦に着目,昭和3年12月17日臼ノ浦支線計画を決定した。翌年8月10日,臼ノ浦から実盛谷駅へ向けて着工,昭和6年8月29日7.8kmを開業。次いで港湾・貯炭場・岸壁を整備。同7年9月10日付で四ツ井樋(よついび)に連絡設備を設け松浦炭鉱鉄道と接続,同9年からは松浦炭鉱の出炭全部を受け入れた。同11年佐世保鉄道の国有化により港頭貯炭場も国鉄のものとなった。同19年4月13日軽便鉄道と四ツ井樋接続を廃し,佐々駅から臼ノ浦へ直進する標準軌道に改築。国鉄は同22年9月高脚ジブクレーンを設置,人力による石炭運搬を機械に改めていった。同25年本船直積用ベルトコンベアーを設置,最盛期月間10万tを積み出した。だが昭和30年代以降石炭産業は急激に縮小,臼ノ浦線を主に利用していた住友潜竜炭鉱が昭和43年,飯野炭鉱が同45年に閉山したので同46年12月26日,世知原線と同時に廃線となった。現在,線路跡地は道路となり,臼ノ浦駅舎跡は公民館に使われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7219628