久根
【くね】

旧国名:対馬
久禰とも書いた。対馬の南部西海岸,久根川流域に位置する。地名の由来について,「津島紀事」は「旧号称大調〈於布都幾〉,昔本州貢銀又於此邑,冶鎔出其美者也,銀以調賦最貴調里」とし,古くは大調(おおつき)と称し,後に久根と改称したが,久根の由来については不詳としている。集落の奥まった森に,銀山上神社が鎮座している。この神社は「延喜式」に出ている古い神社で,当地は銀の産地であった。「日本書紀」をはじめ史書に対馬の銀産に関することがたびたび出ているが,その産地の中心が,銀山神社のある樫根とこの久根の地であることは疑いないとされている。承和4年下県(しもあがた)郡大調神に,従五位下を奉授したと「続日本後紀」にある。当村の古名大調は銀を調貢したからで,大きな調(みつぎ)の意だという。銀山上神社の宝物に,青銅の小型仿製鏡7面・青銅斧1,広鋒と中広の青銅矛がそれぞれ1本あるがその出所は不明。北方,補陀落山の中腹に安徳天皇の御陵墓と称する聖域があり,現在「安徳天皇御陵参考地」となっている。銀山上神社の宝物は安徳天皇伝説と関連づけられているが,これらの遺物は実際は箱式石棺や甕棺から出土することが多く,これらの発掘品が神社に奉納されたようである。久根には古い給人が多いが,久根田舎の初村家と斎藤家(現厳原住)には,鎌倉期以降の中世文書が多く伝存している。
【久根(中世)】 南北朝期から見える地名。
【久根村(近世)】 江戸期の村名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7220492 |





