黒島
【くろしま】

旧国名:肥前
南黒島ともいう。北松浦半島の南西,平戸島の南東の海上に位置する周囲13kmの島の全域。東西約4km・南西約2kmと横に長い。南岸は100mぐらいの急峻な海食崖で,北岸に向かって緩やかな傾斜で海岸線に入っている。全島が丘陵状で,畑地が多く水田は少ない。地名の由来については2説あり,第1はカトリック教徒が多く住んだためクルス島といわれ,これがクロ島となまったという説,第2には樹木が密生して海上から見ると黒く見えたため黒島といわれたという説である。実際この島には樹木が多く,現在の田畑・集落などの大部分はかつては森林であったのを開拓したところで,後者の説の方が妥当であると思われる。別名水島と呼ばれるほど湧水の豊かな島である。黒島石と呼ばれる良質な石材の産地として知られている。文永8年の文書では,「南黒島」とあり,平戸峰氏の所領であった(青方文書/史料纂集)。永享の頃は平戸島津吉の豪族西常陸の領地であった。その後,西氏は平戸松浦に服属し,天正年間には海賊討伐の功により改めて黒島を知行地として認められたという。上屋敷と呼ばれる西氏の屋敷跡らしいものもある。また,キリシタン島としても有名で,江戸期からのカトリック信者が多く,天主堂・修道院がある。
【黒島(近世)】 江戸期~明治4年の村名。
【黒島村(近代)】 明治18~22年の村名。
【黒島村(近代)】 明治22年~昭和29年の北松浦郡の自治体名。
【黒島免(近代)】 昭和29~33年の行政区名。
【黒島町(近代)】 昭和33年~現在の佐世保市の町名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7220538 |





