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高麗橋
【こうらいばし】


中島川上流で阿弥陀橋の隣に架かる橋。長崎市内の八幡町と伊勢町を結び,市道が通る。橋長13.5m,幅員3.6m。径間(アーチのさしわたし)11.2m,拱矢(アーチの高さ)3.0mの太鼓型アーチ石橋。昔は石橋群の通し番号で第2橋と呼んだが,明治15年に固有の名称を付けた。伊勢の宮の門前に架かっている。創設者は中国明人というが,名前は不詳。高麗橋は眼鏡橋より少し遅れて承応元年に完成したが,この後,一ノ瀬橋,中川橋,袋橋,一覧橋などの石橋を毎年架ける契機になる。架設以来214年続いた橋を,幅1間半(2.7m)から幅2間(3.6m)に広げるため架け替えたのが慶応2年である。文献に「慶応二年四月麹屋町池島正助私費で架替す」とあるが,池島正助は前年の慶応元年に亡くなるので,遺族が供養の気持で費用380両を出したのであろう。アーチ橋ではアーチが偏平になれば力学上難しくなるが,高麗橋は径間11.2mに対し拱矢が3mだから,高さに対し径間は3.7倍で偏平がきつい。橋の重さを支えるアーチ石の厚さは50cmしかなく,他より9cmも薄ければ危険なはずなのに,トラックも何事もなく通っている(石橋物語)。その後橋幅を4.8mに広げるためコンクリート高欄に替えた。橋畔に残る昔の擬宝珠付の親柱は眼鏡橋と同じく見事なものである。中島川石橋群10橋の1つとして昭和46年10月21日に市文化財に指定されており,昭和57年の大洪水でも流れなかったが,昭和61年河川改修により撤去され,コンクリート橋となり,330年前から市民に親しまれてきた石橋の歴史を閉じた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7220672