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金刀比羅神社
【ことひらじんじゃ】


長崎市坂本町にある神社。旧郷社。祭神は大物主大神。相殿に崇徳天皇・菅原道真を祀る。明治維新の神仏分離政策により寺号が廃された無凡山神宮寺を改称したもの。金比羅山麓に位置する。宝永2年,八幡町に住む真言宗当山派の修験僧吉祥院長慶が,同町乙名木下潤蔵の援助によって讃岐国金刀比羅宮の分霊を勧請,瓊杵山(現金比羅山)山頂の石窟に祀ったことに始まる。瓊杵山は無凡山とも称す。山頂で参拝に不便であったため正徳3年,ふもとに拝殿を設置,これが現社地にあたる。享保3年社地3反が寄進された。同10年,16世紀後半キリシタンにより破壊された神宮寺の寺号を復活させ,以後無凡山神宮寺と称した。神宮寺は弘仁年間,嵯峨天皇の勅願によって今の諏訪神社・諏訪公園・炉粕町・馬町・立山町一帯にかけて建立されたが,元亀・天正年間のキリスト教徒の社寺破壊により焼かれたままになっていた。元文年間祈祷所・拝殿を再建,宝暦6年には山頂石窟に拝殿・石灯籠1対を建立した。以後もたびたび修復・再建を行った。また金比羅山は長崎港へ入港する中国船の目印になっていたため当社は中国人の信仰を集めた。中国船1艘より銀150目ずつが寄進され,文化6年にはそれが250目ずつに増加した(以上,長崎市史仏寺部)。明治元年,神仏分離政策によって仏寺号は廃止され,金刀比羅神社と改称された。昭和4年郷社に列した。4,500坪に及ぶ境内には境内社稲荷神社・竜神社があり,かつては長崎名物のハタ揚げも瓊杵山で行われた。また明治7年にフランスの天文学者が金星を観測したと伝えるピラミッド型記念碑がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7220744