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佐世保宿
【させぼしゅく】


江戸期の宿駅名。佐世保市に所在。平戸往還の宿駅。市内谷郷町付近に位置した。かつて佐世保川の河口にあたり,佐世保湾の湾頭集落であった。馬立場(継場)・郡代屋敷・庄屋があり,現在北方に城山・西方寺・八幡神社がある。また天正14年の佐世保宿の家屋は46軒であった。現在の佐世保市はこの付近を中心として発達したもので,前面に市役所があるのも偶然ではない。平戸往還筋には街道松があり,作家吉田絃次郎は「西方寺の下の老松は,古城の松を偲ばせ,名切に越ゆる山道の並木松は,東海道のそれとも比すべき歴史の貴さと,蒼古さと幽韻とをゆたかに,たたえていた」と記した。都市化の波に押されて,現在1本もなく,国道筋に郡代役所の白壁と石垣が残る。本陣は御幸橋付近の山本悟郎宅であった。平戸藩主松浦清(静山)は,参勤交代や長崎勤番の折にこの本陣に宿泊した。宿泊の折に書いた屏風日記がある。伊能忠敬測量隊は,文化9年12月28日平戸往還を北上し,谷郷の庄屋に到着し,「赤坂枝福石・字毛風,福石川幅三間,茶屋ノ坂・字大野・字馬宿・佐世保村枝小佐世保・峰ノ坂・字ハジノ木・小崎坂・字谷河原・佐世保村庄屋」と「測量日誌」に記しているところから平戸往還の道筋がはっきりわかる。吉田松陰は,嘉永3年平戸遊学の折佐世保の宿場に立寄り,「西遊日記」に「佐世保にて逢杖を忘れ,半程ばかり還る。佐世保一医僧の誤る所となり,浦に入る」と記す。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7220943