大宝
【だいほう】

旧国名:肥前
五島列島の福江島の南西端に位置する。東・西とも東シナ海に面し,南の海上に美郎島がある。地名の由来は,大宝年間に道融和尚が大宝寺を建立して三輪宗を開いたことにちなむ。なお,大宝寺の名は対馬からの金の献上に対し,文武天皇が年号を大宝としたことによるという(玉之浦郷土誌・五島郷土史)。大宝寺は,その後空海が大同2年唐から当地へ帰着して日本最初の真言宗を開いたところで,西の高野山大宝寺として有名で,各地からの参詣者が絶えない。中世では大宝寺は玉之浦の内であり,応安8年2月18日の年紀をもつ大宝寺鐘銘には「肥前州於五島珠浦弥勒山大宝寺」と見える(五島編年史)。当地の海岸は古くから海亀産卵地として知られる。地内笹海付近からは縄文時代の阿高式土器や石器が出土する。遣唐船をはじめ大陸渡航の港であり文化輸入の門戸であった。大宝村は豪族玉之浦氏が支配していたが,江戸期に宇久氏(文禄元年五島と改名)の配下となり,玉之浦氏が玉之浦と大宝に居城を構え玉之浦一円を支配した(五島編年史・五島通史)。大宝寺境内には応安8年の銘のある梵鐘があり,昭和39年県文化財に指定された。地内に玉之浦氏の居城跡がある。
【大宝村(近世)】 江戸期の村名。
【大宝郷(近代)】 年不詳~現在の行政区名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7221449 |





