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中川橋
【なかごうばし】


中渓橋とも書き,鳴滝橋・古橋とも呼ぶ。鳴滝川に架かる橋。長崎市内の中川地区と桜馬場地区を結び,市道が通る。橋長8.7m,幅員3.0m。径間(アーチのさしわたし)5.1m,拱矢(アーチの高さ)2.6mの小さなアーチ石橋。長崎の石橋はアーチのすぐ上が橋面なので太鼓型になるが,中川橋だけは,アーチの上に約1mの土砂が被って路面となる。アーチの上は違う石積みでかさ上げしており,元来は他の橋と同じ太鼓型であったと思われる(石橋物語)。長崎の石橋群では最も小さい。創設者は中国の大通事だった林守である。林は崇福寺の大檀越として権威者だったので,私財を投じて石橋を架けた(長崎名勝図絵・長崎古今集覧・実録大成)。ここは長崎に出入りする人々が通る長崎街道に当たり,昔は主要な街路筋であったが,国道34号は100mほど南を通るので,現在は大型車以外の普通車が通るにすぎない。中川橋は一ノ瀬橋より1年遅れて承応3年3月に竣工しており,330年の歴史を持つ。昭和57年の大洪水でも流れずに残った。この橋も,石橋群に続いて昭和47年6月10日に市文化財に指定された。石橋群指定の6橋が流れて文化財の橋が減ったので,中川橋の価値は増している。約300m上流に,シーボルト宅跡がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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