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能理刀神社
【のりとじんじゃ】


上県(かみあがた)郡上対馬町西泊にある神社。旧村社。祭神は宇麻志麻治命・天児屋根命・雷大臣命。神仏習合後は熊野権現と称した。貞享3年の「対州神社誌」には「氏神熊野権現」と記され,社殿は「神主兵左衛門方より修補仕 但以前は 上より御建立之由申候」とある。明治維新後能理刀神社と改称。明治7年村社に列した。ノリト神社の名は「三代実録」貞観12年3月5日条で「告刀神」として従五位下から従五位上へ昇叙,「延喜式」神名帳上県郡条に「能理刀神社」と見える。しかし,現在能理刀神社の社号をもつ神社は,ほかに上対馬町芦見の能理刀神社,上県町伊奈の志多留能里刀神社がある。また上対馬町浜玖須の霹靂神社も式内社能理刀神社の可能性があるなど論社が多く,式内社比定はむつかしい。これらの神社の共通点は,神仏習合により中世~近代はいずれも熊野権現と称したことで,熊野系山伏が社僧を勤めたとみられる。また下県郡美津島町には太祝詞(ふとのりと)神社があり,卜部の祖神雷大臣命を祀る。上県郡の能理刀神社も亀卜の社として卜神を祀ったであろう。これらの鎮座地には卜部の一族がいたとする資料もある(津島亀卜伝記)。これらの論社の中では,上対馬町浜玖須の霹靂神社が式内社能理刀神社の可能性が高い。その理由として,この社が5世紀代の墳墓群上に位置すること,その墳墓群の出土品が韓国系資料を豊富に含むこと,久須の地名が「和名抄」上県郡の郷名に見えることなど,官社が存在することに十分な歴史的環境を具備していることが挙げられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7222258