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松浦線
【まつうらせん】


日本国有鉄道の線区名称。有田駅と佐世保駅を結ぶ。全長93.9km。北松浦半島には佐々~世知原間に佐々川沿い松浦炭鉱の運炭鉄道(明治31年開通),相浦~柚木間に相浦川沿い石炭輸送の佐世保軽便鉄道(大正9年開通),伊万里~有田間に有田川沿い有田焼輸送の伊万里鉄道(明治31年開通)があったが,この3本をもとに国鉄が昭和3年に着工,同19年4月13日に連絡が完成,同20年3月1日標準軌道による現路線を完成させたのが松浦線である。伊万里と佐世保を結ぶ伊佐線は明治41年以来建議が出され,大正9年7月の第43国会で軽便鉄道として協賛を経て決定したが,着工は遅れ昭和3年2月伊万里から開始,完成したところから開業し昭和5年10月1日には今福まで,同8年6月25日には志佐(現松浦)まで,同10年8月6日には平戸口まで,同14年1月25日には潜竜まで開業したが,潜竜~肥前吉井間は戦争激化のため中断した。一方,佐世保から上佐世保までの3.2kmはバスしかなかったので佐世保鉄道が昭和8年工費約100万円で着工,市街地の上を走る高架6か所,トンネル5本の難工事で同10年11月9日に開通。昭和11年国有となった佐世保鉄道の線路は狭軌762mmだったので国鉄の標準軌間1,067mmに敷き直す改軌工事が昭和14年から始まり,同19年4月13日完成。この日,再開されていた潜竜~吉井間工事も完成し,伊佐線は一応完成して世知原線は支線となった。だが実盛谷から佐々へ行く従来の路線では当時最も優れた石炭積出港であった相浦港が行き止まりとなっていたため,相浦港を伊佐線に組み込むため実盛谷~佐々間の路線を改め相浦~真申間を直結して佐々に至る新線をつくることとなり,昭和20年3月1日完成した。これにより標準軌道による伊佐線が完成,全線を松浦線と命名した。左石~柚木間は柚木線,佐々~臼ノ浦間は臼ノ浦線,肥前吉井~世知原間は世知原線となった。その後,北松炭を西日本各地へ運送するため活躍したが相次ぐ炭鉱閉山により昭和35年4月15日,中里・小浦・田平駅が民間委託となったのをはじめとして次々に縮小・無人化された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7222889