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紫瀬戸
【むらさきせど】


対馬の中央部,下県(しもあがた)郡美津島町三浦湾と芦ケ浦の間にある瀬戸。西岸に住吉神社が鎮座して,付近の地名も住吉といい,住吉瀬戸ともいうが,紫の藻が水底に自生するということから,この瀬戸名がある。貞享3年の「対州神社誌」に,住吉神社を「瀬戸紫住吉大明神」としていることから,紫瀬戸の名が古くからあったことが知られ,「津島紀事」には「紫泊渡〈無羅左幾瀬戸〉」として豊玉姫が御子を出産したとき,その悪露を濯いだことから紫の藻と化したという伝説を記している。その産湯とされた井戸もあって,一説には神功皇后が,朝鮮遠征の帰途この地で御子(応神帝)を出産されたのだという。瀬戸の東側は沖ノ島で,渡し船によって往来していたが,昭和45年赤島まで道路が整備されると同時に,紫瀬戸に鉄橋が架けられて,翌年からバスも運行するようになった。瀬戸の北西岸には縄文前期の遺跡があり,芦ケ浦・鴨居瀬の両方に弥生~古墳時代の遺跡がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7223125