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柚木線
【ゆのきせん】


日本国有鉄道の廃止線区名称。国鉄松浦線左石駅から東へ分岐し柚木駅までの3.9kmの路線。昭和42年の豪雨を機に廃止された。前身は大正9年開通の佐世保軽便鉄道。日露戦争の旅順攻撃の経験により佐世保港を見下ろす国見山は軍事上の要地とされ,明治38年佐世保―国見山―伊万里を結ぶ道は仮定県道として整備されることになった(大正10年県道認定)。大正6年4月国見山を源流とする相浦川に沿った柚木―大野―相浦間および,大野―佐世保間のT字形路線をもつ佐世保電気軌道が許可を得,同9年3月27日柚木~相浦間が佐世保軽便鉄道として開業。炭鉱主も出資し,相浦川流域から産出する石炭が主な貨物であった。翌年10月7日上佐世保~大野間が開業すると,上佐世保―大野―相浦間が主となり柚木行は大野で切り離すことになった。これが柚木線のはじまりである。のち大野は左石と改称,昭和11年国有になると重石(かさねいし)は肥前池野と改称。同17年狭軌から標準軌道へ改められると左石~柚木間19分(昭和2年)が13分(同18年)となり,戦後気動車が運行すると9分(同28年)に短縮された。だが石炭はトラックに,乗客はバスに移り,同31年3月1日からレールバスが運行した。昭和37年には貨物取扱を廃止。昭和42年7月9日県北一帯の集中豪雨で相浦川堤防が決壊,数か所で柚木線の路盤が流失,所によっては線路の形跡さえなくなっていた。当時,柚木線は1日4便しかないのに対しバスは75便,営業係数は4,364円で全国一の赤字線であった。国鉄は施設・用地を市へ払下げる条件で同年8月31日当線を廃止した。線路跡はサイクリング道路,池野駅跡は児童公園となって児童図書館に改装されたレールバスが置かれ,柚木駅跡には市営住宅などが建てられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7223290