100辞書・辞典一括検索

JLogos

17

上弓削神社
【かみゆげじんじゃ】


熊本市弓削町にある神社。旧村社。祭神は孝謙天皇。白川の左岸に位置する。法皇宮・法皇社と称した(国郡一統志・肥後国誌)。「肥後国誌」に祭神は道鏡で,白川を隔てて北の法皇宮(現弓削神社)は女神との俗説を記す。いつの頃か若杉某なる者が神体を守り来ったもので,毎年正月15日に15歳未満の村童らが各自杉枝を自分の年の数だけ社内に挟むという習慣を記している。当社にも弓削神社同様に祈願成就の礼祀として男根の模型を奉納する習慣があり,社殿に山積していたが,昭和28年の大水害で流失し,現在ではわずかになった。祭日は旧来9月25日であったが,現在は10月15日。当社の神体は神殿の床下から突き立つ大石である。鳥居には法皇社の額が懸かり,元禄13年の刻銘があり,社前の石灯籠には元禄3年,水盤には正徳3年の銘がある。この神社の功徳も弓削神社と同じく浮気封じ・子授け・夫婦和合・五穀豊穣など。両社は白川の両岸に向き合っており,両社の間の白川河畔には,「肥後国誌」によれば,振袖石・手掛石という神石2つがあり,「然ルニ村民婚嫁ノ夜ハ此二石太タ湿フト云,一笑ニ堪ヘスト雖モ里俗ノ伝説ヲ捨テスシテ載之」と見え,また「河中ニ飛石アリ。里俗言ヒ伝ヘテ夜バイ石ト称ス。供合村某石材トナセシタメ,神罰ヲ得テ悶死セリト云フ」(飽託北部に於ける史蹟並ニ天然記念物)と伝え,両岸の男女神が祭礼の日に川を渡って神婚の式を行ったことを推測させる。両社ともに境内と周辺から縄文・弥生土器や土師器が多量に出土している(竜田百年・弓削発掘調査報告書)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7224594