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薩摩街道
【さつまかいどう】


山陽道の延長の長崎路から分岐し,肥後と薩摩を結んだ街道。豊前(小倉)街道・豊後街道と並ぶ肥後国の主要街道で,熊本城下の新町1丁目御門を起点とし,南下して(熊本市)―宇土(うと)―松橋(まつばせ)―小川―宮原―八代(やつしろ)―日奈久(八代市)―佐敷(葦北郡芦北町)―水俣を経て,鹿児島に至る。経路は今日の国道3号とほぼ一致。熊本~日奈久間はほとんど平坦路で,寛永年間頃熊本藩による道路網が整備され,今日のルートにほぼ合致するようになった。この間の川尻・宇土・八代は藩の宿場町として栄えた。日奈久~水俣間は赤松太郎峠・佐敷太郎峠・津奈木太郎峠がある山坂道で,総称して三太郎峠と呼ばれ,豊後水道沿岸の宗太郎越と並ぶ交通の難所であった。一帯は肥薩国境の要害の地で,佐敷には郡代の詰所が置かれたが,当時の古道は現在廃道となっている。明治36年頃造られた稲妻形の山坂道の旧国道は一部が県道となっているが,昭和40年に9年の歳月と47億円をかけた新国道が完成,自動車による通過時間距離は約半分に短縮された。かつての薩摩街道は全線を通して国道3号として整備され,九州の産業・経済を支える交通上の大動脈となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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