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南郷往還
【なんごうおうかん】


熊本市から阿蘇南郷谷を経て大分県竹田市に至る道路。熊本市を貫流する白川の左岸,長六橋際を起点として白川沿いに北東に向かい,九品寺・大江・保田窪を経て,菊池郡菊陽町の辛川・曲手にまたがる道明から高遊原を通り,七曲り峠で阿蘇西外輪山を越え,阿蘇郡久木野村に至る。この峠道は主要地方道熊本高森線が通る。さらに阿蘇南外輪山北山麓沿いに南郷谷を通り,高森町から阿蘇東外輪山へ,ほぼ現在の国道265号を北東に上り,大戸の口峠を越え,阿蘇山東麓の阿蘇郡波野村から大分県荻町玉来を経て,竹田市に到着する。この道路は,戦国期から江戸期における九州中部を横断し肥後と豊後を結ぶ重要な道路。大分県に近い高森町色見では,江戸期に豊後岡藩の通貨岡札が幅をきかせ,塩・酒・干魚がこの街道を通って運ばれ,色見村の中原には,茶屋・居酒屋・旅籠が十数軒立ち並び,宿場町のようににぎわった。沿道には国東型の六地蔵が今も残り,大分文化との交流の深さを示す。昭和初期以来,高森線・国道57号・国道325号が開通したため南郷往還の重要性は少なくなった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7226898