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青の洞門
【あおのどうもん】


下毛(しもげ)郡本耶馬渓(ほんやばけい)町大字曽木字青にある隧道。山国川本流に絶壁をなしてそそり立つ成層集塊岩の岩山に穿たれた隧道。この岩山は帯岩といわれていたが,いまは競秀(きようしゆう)峰とよばれている。ここの通路は昔は岩壁にそって山国川上に「青のくさり戸」という木材を並べた釣り橋状のものがあり,一歩ふみはずすと人馬とも川中に転落死亡する危険なところであった。この岩壁に川に沿って隧道を最初に穿ったのが禅海和尚である。禅海は越後の人という。人々の難儀を見て発心,ノミとツチの手仕事で,享保19年から宝暦13年までの約30年の年月をかけて掘削したという。当時延長85m・高さ約2.7m・幅約3.6mあったという。川側には数個の明り窓もあり,集塊岩は火山灰と火山礫の堆積によって生じた岩であるから比較的軟らかい。明治年間陸軍の日出生台(ひじうだい)演習場への軍用道路として大拡張されたので,現在禅海の掘ったと伝えられる部分は一部が保存されているにすぎない。大正期菊池寛の「恩讐の彼方に」の小説,さらに文部省国定教科書に採択され,全国にその名が知られた。現在も耶馬渓観光の入口として観光客が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7228412