100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

鵜戸街道
【うどかいどう】


鵜戸さん詣りの道のことで,昔は鵜戸神宮往還と呼んだ。一般に宮崎市と日南市鵜戸を結ぶ海岸沿いの道(11里12町)をいうが,厳密には飫肥(おび)(日南市)・榎原(南那珂郡南郷町)から鵜戸に至る道も含まれる。宮崎からの鵜戸街道の起点は旧中村町である。まず東に向かい城ケ崎を経由する。その昔「金がなければ通れない」と俗謡にうたわれたほどにぎわった場所だけに,ここは重要なターミナルであったと思われる。都市計画で往時のおもかげはないが,商家の並ぶ落ちついた屋並みをもつ集落であった。城ケ崎を過ぎるとやがて現国道220号と重なるが,国鉄日南線の南方駅辺りからは内陸部のコースをとり,熊野・車坂と巡って曽山寺で再び国道に合流する。折生迫(おりうざこ)から内海へのコースは国鉄日南線沿いに山地を通る。青島トンネルの真上にある峠が内海峠であるが,近くの日ノ御崎峠を含めて,いわゆる七浦七峠はここから始まる。内海ノ浦―小内海ノ浦―鶯巣(おうさ)峠―鶯巣ノ浦―伊比井越―伊比井ノ浦―馬ノ峠―富土ノ浦―瀬平峠―小目井ノ浦―宮浦―烏帽子峠と連なって鵜戸に達するが,峠路と浦を繰り返すこの街道は難渋する道であった。慰めは峠の茶屋での憩いと途中の眺めであったであろう。シャンシャン馬を仕立てた新郎・新婦が絵になる道ではある。鶯巣には関所,伊比井には宿場,瀬平峠には茶屋があった。最後の烏帽子峠を下ると吹毛井(ふけい)である。ここから上り438段,下り377段の八丁坂を越えれば鵜戸神宮である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234461