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小倉ケ浜
【おくらがはま】


県北部,日向市の海岸にある長大な砂浜海岸。塩見川の河口右岸から赤岩川にかけての海浜一帯で,日豊海岸国定公園に属する。海底は,深さ3~4mまでの浅所は幅が狭く,そこから10m内外の所まで急傾斜している。塩見川右岸から日向市平岩にかけて南に延びる約4kmの砂浜海岸は,塩見川・赤岩川・吉野川の供給する土砂と沿岸流により形成された。地質的には新生代第四紀更新世の礫・砂・シルト・粘土からなる沖積層である。地名は弘法大師にまつわる伝説にちなんだものである。言い伝えによると,ハマグリ採りに浜に出ていた2人の女性,お倉とお金が大師に会った。大師にハマグリを与えたお倉の籠にはハマグリが一杯になり,一方,ハマグリを与えなかったお金の籠のハマグリは石になったという。小倉ケ浜の地下,約4mにハマグリ(スワブテ貝,チョウセンハマグリ)の殻の堆積層がかつて広く分布していた。これはボーリングにより採取され,日向碁石として加工された。のちには生きた貝が採取されたが,現在は原料不足のため海外から輸入される。ハマグリからつくられる白い碁石は県特産品の1つで,日向白に那智黒といわれている。なお,当浜は海水浴場としても利用される。小倉ケ浜の砂層微高地は海岸線と並行して数条の列からなり,砂浜に面して形成された浜堤が順次海岸に向かって新たに付け加えられていった過程が推察される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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