100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

尾平越トンネル
【おびらごえとんねる】


西臼杵(にしうすき)郡高千穂町上岩戸と大分県緒方町を結ぶ。主要地方道緒方高千穂線のトンネル。坑口所在地は上岩戸字常光寺坂と,緒方町尾平鉱山字コシキで,一帯は祖母山系の国有林地域である。全長578m・幅員6.6m・高さ4.5m。標高は977.7mで,県内では最も標高の高いトンネルである。本県側からほぼ3分の2入った地点が県境になるが,標識はない。照明も非常用施設もない。コンクリート造りであるが,一部露岩吹付けをした天井もあり漏水がみられる。昭和37年1月着工,同41年2月竣工。工事はすべて大分県が行い,現在の維持管理は本県が担当している。高千穂町市街地からトンネルに至る道路は県道であるが,上岩戸の仲の内地区から坑口までの区間だけは林道になっていて,幅員3mほどの砂利道で,車両の通行にはかなり難渋する。大分県側は県道で舗装ずみ。交通量は日に20台ほどといわれ,夏季にやや増える。12月から3月初めの期間は,露水凍結のため通行は困難である。尾平越の峠道は,トンネルより高い所を大分県に抜けていったが,人が歩ける程度でしかなかったため,高千穂町と緒方町を結ぶ道路の開削は,両町民の永年の悲願であった。トンネル開通が成った今,両県側坑口にそれぞれ記念碑と句碑が建立され,当時の喜びを伝えている。本県側の句碑には「高千穂の神深々と初紅葉」,大分県側には「鹿逐ふて来たる紅葉の尾平越」の句が刻まれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234658