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門川
【かどがわ】


旧国名:日向

五十鈴川中・下流域に位置し,東は門川湾に臨む。北東部には日向灘に突出する遠見山半島があり,リアス式の海岸線を有し,日豊海岸国定公園の一部をなす。門川湾の湾口に浮ぶ無人の乙島は,柱状節理の数十mの絶壁や海食洞が見られ,昭和32年県名勝に指定された。ほかに枇榔(びろう)島・唐船(とうせん)バエ・イクイバエ・大バエ・中バエ・松バエなどの岩礁が多い。これらの海岸は釣場としても有名で,九州各地からの釣客が数多く訪れている。地内には河川が多く,五十鈴川は中でも最も大きく,源を西隣の北郷村の九左衛門峠のふもとに発して当地の南部に入り,松瀬から庭谷・神舞・上井野・小切畑・熊毛田・笠原・丸口・分蔵を経て門川湾に注いでいる。その北に鳴子川があり源を地内の西本山に発し,東南に流れて鳴子で海に入る。篠折川は地内の塩谷ケ内に発して東南に流れて海に入る。円八重(まるはえ)川は地内加草にあり,上流は3源に分かれており,3流が合流して東南に流れ,庵ノ川の村境を流れて海に入る。庵ノ川は源を東北の隅次郎ケ迫の谷に発し,東南に流れて塩屋崎に至って海に入る。また須留木川は源を烏帽子岳北麓に発し,西に流れて庵ノ川に合している。地名の由来は明らかでないが,川の多い意味であろうと思われる。古代の「和名抄」日向国臼杵(うすき)郡四郷の1つに見える刈田郷,「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条に見える刈田駅は当地域付近に比定され,門川は刈田が転訛したものとも,あるいは刈田は門川の誤記ともいわれる。
門川(中世)】 戦国期に見える地名。
門川村(近代)】 明治22年~昭和10年の東臼杵郡の自治体名。
門川町(近代)】 昭和10年~現在の東臼杵郡の自治体名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234716