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須木
【すき】


旧国名:日向

九州山地の南端,大淀川の支流本庄川(綾南川)上流の山間地に位置する。地内中央部の本庄川沿岸には標高400m前後の小盆地がある。また,地内北東部には綾北川,南東部に浦の名川,南西部に谷之木川などが流れる。地内の9割ほどを山林で占める。当地域は日本有数の多雨地域で,杉の生育が良く,良質の杉の生産地であった。地名の由来は,この杉にちなむと伝えられる。ほかに人口の少ない山村ということから起こったともいう。地内下田の綾南川にかかる観音滝は継子(ままこ)谷ともいわれ,継子いじめをする養母が娘を滝に突き落とそうとした時,娘はとっさに帯を母の帯に結びつけたため,母子2人ともに滝つぼに沈んだという伝説がある。観音滝は昭和8年須木の滝として県名勝に指定された。地内上ノ原の万年岳の南西斜面山林中に地下式横穴4基がある。県内の地下式横穴が通例平坦地に設けられているのに対し,当地のものは傾斜地にあるのが特徴で,昭和9年須木古墳として県史跡に指定された。また,この須木古墳の隣接地で昭和55年村役場庁舎建設に際して10基の地下式横穴が発見され,鉄鏃・刀子・剣・直刀などが発掘され,9号墳からは櫛を着装した人骨が発見されて注目を浴びた。地内の南東部にそびえる七熊山の峠道は,古来当地に入る人々の越えた峠で,南東の紙屋・高岡方面から塩が運びこまれた「塩の道」であったと伝えられている。
須木(中世)】 室町期~戦国期に見える地名。
須木郷(近世)】 江戸期の郷名。
須木村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
須木村(近代)】 明治22年~現在の西諸県郡の自治体名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7235274