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祖母山
【そぼさん】


古くは祖母(うば)岳・姥岳(うばたけ)山ともいった。西臼杵(にしうすき)郡高千穂町と大分県竹田市・緒方町の境に位置する祖母傾山地の主峰。標高1,756.7m。祖母傾国定公園に属する。九州本土内では九重山群に次ぐ高さである。新生代第三紀中新世に噴出した古い火山で,開析が著しくその原形はほとんど留めていない。特に東面は深く浸食され,極めて急峻である。これに対し,南西面は比較的なだらかな斜面で,山頂西部の国見峠(1,486m)から千間平にかけてと南部標高約1,100~1,400mの四季見原付近は溶岩台地状の平坦面が認められる。山頂から南に延びる稜線は,障子岳(1,703.0m)・古祖母山(1,633.1m)を経て,はるか東部の傾山(1,602.0m)まで続き,祖母傾縦走路を形成している。西部中腹標高約1,300m付近には風穴があり,奥行約10mの溶岩トンネルである。地質は下部が角礫質安山岩,上部が安山岩・石英安山岩でいずれも溶岩である。西部山麓は阿蘇溶結凝灰岩に覆われた標高約900mの五ケ所高原である。東麓の険しく浸食された谷底には尾平鉱山があり,のちに貫入した花崗斑岩が祖母火山岩や古生層と接触する部分に鉱床が分布する。現在は休山中。山頂には緒方町神原(こうばる)にある嫗岳神社や高千穂町五ケ所の祖母岳神社の上宮とされる嫗岳大明神を祀る石祠がある。山名は神武天皇の祖母豊玉姫命を祭神とすることに由来する。明治23年英国人W.ウエストンが五ケ所高原から祖母山頂に達したことも知られる。山頂は阿蘇・九重・九州脊梁など360度の視界に恵まれ,9合目には有人の山小屋もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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