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谷ノ城トンネル
【たにのじょうとんねる】


国鉄日南線の伊比井駅と北郷駅の間にある県下最長のトンネル。日南市と南那珂郡北郷町の境界に位置する。坑口は日南市富土字狩田と北郷町郷之原乙字谷之城口にある。全長3,670m・幅員4.1m・高さ5.1m。日南海岸伝いに南下する日南線は,伊比井駅を過ぎて日南山地に入り,谷之城山(573.8m)の下を一直線に通る。標高は,伊比井駅側64.8m,北郷駅側59.8m,伊比井駅側から約1.5kmの最高点標高は73.7mで,これを境に両坑口までそれぞれ1,000分の6の勾配をもつ。九州管内の在来線では,長崎トンネル(6,173m,長崎本線),篠栗トンネル(4,550m,篠栗線),釈迦岳トンネル(4,379m,日田彦山線)に次いで4番目に長いトンネルである。昭和32年3月,北郷駅側から先に着工。断層の多い砂岩・頁岩の互層で,種々の困難があったが,中でも北郷側坑口の近くで起きた可燃性天然ガスの噴出は,トンネル事故としては珍しい例であった。作業員のガスランプから引火し燃えだしたことで,ガスの滞留が発見され,工事が6日間中断された。竣工は昭和34年3月。トンネルが長いためレールも現在は,最新の50N(重量50kg/m)・ロングレール(200m)を使用。トンネル完成から4年後の昭和38年5月8日,日南線が開通,それまで道路だけであった宮崎市~日南市間が鉄道で結ばれることになった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7235423