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妻線
【つません】


日本国有鉄道の廃止線区名称。国鉄日豊本線佐土原(さどわら)駅(佐土原町)と杉安駅(西都(さいと)市)を結んだローカル線。佐土原から一ツ瀬川に並行して宮崎平野と九州山地の接点である杉安に至る。全長19.3km。駅数6(接続駅を含む)。明治44年,県が政府低利資金を借り入れ,宮崎(宮崎市)~妻(西都市)間の県営軽便鉄道の敷設を開始。大正2年12月15日,宮崎県営鉄道妻線として宮崎~佐土原(当時広瀬)間13.2kmが開通。ほぼ同時に佐土原~西佐土原(当時佐土原)間着工。大正3年3月,西佐土原~妻間が完成,同年6月宮崎~妻間26.7kmが開業。大正6年,米良荘(めらのしよう)の豊富な林産資源を搬出する計画から,杉安までの工事に着手。同年9月21日,鉄道院(のちの国鉄)が宮崎県営鉄道を買収,佐土原~妻間を妻軽便線とする。大正9年,日豊本線佐土原~高鍋(高鍋町)間の開通に伴い,宮崎~佐土原間は日豊本線となり,妻線は佐土原~妻間となる。大正11年8月20日,杉安まで開業。さらに湯前線とつなぐ九州横断鉄道開通への期待が高まるが実現せず。昭和19年12月1日から同22年3月19日の間は営業休止。昭和40年代中頃から利用者は減少。昭和47年3月14日,貨物営業が廃止となり無煙化達成。この頃,妻駅の入場券が「入妻」ということで購入希望者が増加,ブームとなる。昭和56年6月10日,南九州地区でただ1つ国の特定地方交通線第1次廃止対象線区に指定される。当時の損益,年間3億1,400万円,営業係数(100円の収入を得るために要する経費)630。地元の西都市の運賃一部助成,蒸気機関車運行誘致運動などの存続運動も実らず,昭和59年12月1日廃止。昭和13年の西佐土原駅の業務日誌に「臨時列車1本に2,247人が乗車した」との記述がある。昭和18年の年間旅客者数は1万7,000人,昭和57年は8,800人。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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