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天神トンネル
【てんじんとんねる】


九州自動車道宮崎線の都城インターチェンジと田野インターチェンジの間にあるトンネル。坑口の所在地は,都城側が宮崎郡田野町字天神川内,田野側が同町字塩水ケ谷である。高速道路であるため,上り車線(都城方面行き)と下り車線(宮崎方面行き)とでは別の独立したトンネルになっていて,標高や全長に若干の違いがある。上り車線の標高は,都城側280.2m,宮崎側253.0m,下り車線の標高は,都城側280.3m,宮崎側253.4mで,いずれも1.6%の勾配で宮崎側が低い。全長も,上り車線1,670mに対し,下り車線は1,648m。幅員はいずれも8m,高さも同じく4.7m。トンネル内設備としては,県内唯一を誇るジェット・ファン(横型軸流ファン)が,上下とも3基ずつ据えられているのが特色である。これはトンネル内火災時の排煙用として設置されたものであるが,通常は自然換気にまかせ,トンネル内に排気ガスが滞留すると作動される。また日本道路公団(都城インターチェンジ)から流されるラジオ再放送の設備も県内唯一である。照明灯・非常電話・非常警報装置・遠隔制御装置・消火器なども備えられ,入念な安全対策が施されている。トンネルの建設工事は大変な難工事で,殉職者1名を出している。上り車線と下り車線を2社で分担,いずれも本県側から掘りはじめた。着工は昭和52年12月。上り車線では当初,中央底設導坑上半先進工法をとったが,坑口から300mの地点で,地盤の持上がり,側壁の押出し,地盤落ちを防ぐ矢板の損壊,さらには毎分2tという大量出水など,予期しない事態が続出,これを復旧したコンクリート地盤も陥没したため,400m地点で工法を変え,側壁導坑上半掘削工法(サイロット工法)で掘り進んだ。予定より遅れて昭和55年12月に竣工。九州自動車道宮崎線は,昭和56年10月に開通した。昭和58年のトンネル付近の交通量は約6,000台である。なお,このトンネルの田野インターチェンジ寄りに,片井野トンネルがある。上り車線662m,下り車線694mで,所在地は田野町域。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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