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七浦七峠
【ななうらななとうげ】


七浦七尾・七浦七阪ともいう。宮崎市の日ノ御崎峠から日南市の烏帽子峠に至る海岸沿いの名勝地をいう。「一宮巡詣記」には,加江田(かえだ)日ノ御崎から油津に至る海岸の総称と記され,田山花袋の紀行文では,内海港から鵜戸(うど)に至る間の呼称と述べている。七浦七峠は,北から日ノ御崎峠―内海(うちうみ)峠―内海ノ浦―小内海ノ浦―鶯巣(おうさ)峠―鶯巣ノ浦―伊比井(いびい)越―伊比井ノ浦―馬ノ峠―富土ノ浦(ふとのうら)―瀬平峠―小目井ノ浦―宮浦―烏帽子峠を指し,海岸通りの難道として知られた。宮崎市中村町から日南市鵜戸神宮に至る近世の参拝コースで,鵜戸神宮への道は3ルートあり,このうち鵜戸神宮往還(鵜戸街道)と呼ばれた道すじ。現在は日南海岸国定公園を海沿いに国道220号が通り,ロードパークになっている。近世の街道は,鵜戸さん(鵜戸神宮)参りの道で,参勤交代の道でもあり,浦の集落から集落をつなぐ生活を支える道であった。七浦七峠の参拝コースは,鵜戸山地が海に迫るところで,宮崎層群(新生代第三紀)の砂岩層や砂岩泥岩互層が分布している。硬い砂岩層が残る海岸線は,小湾入や小岬の屈曲をリズミカルに繰り返す。宮崎から鵜戸へのコースは,峠を越え浦に下り,通行には日数がかかり労苦を伴った。宮崎地方の風習として,新婚記念に鵜戸さん参り(お礼参り)をしていた。新婚の花嫁が馬に乗り,花婿がくつわをとったシャンシャン馬は,七浦七峠を往来し,日向路の風物詩であった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7235651