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矢岳第1トンネル
【やたけだいいちとんねる】


国鉄肥薩線の真幸駅と熊本県矢岳駅の間にあるトンネル。所在地はえびの市昌明寺(しようみようじ)。全長2,096.2m・幅員3.7m・高さ4.6m。側壁石造り,アーチ部煉瓦造り。真幸駅~矢岳駅間の6つのトンネルのうちの1つで,矢岳駅に一番近い。矢岳山(739.0m)の東の位置で矢岳高原の真下を通り,熊本県境の手前へ抜ける。標高は真幸駅側484.5m,矢岳駅側536.9m,矢岳駅に向かって1,000分の25の急な上り勾配になっている。本県の鉄道敷設は,この肥薩線(旧鹿児島本線ルート)が最初であり,トンネルの竣工も明治42年11月と古い。えびの史談会刊「えびの」No. 8によれば,工事は両坑口から始められ急勾配を真幸駅側から掘り上げ,矢岳駅側から掘り下げて進んだものの,導坑が上下にくい違い陥没事故が発生,多くの犠牲者を出したという。また,当時このトンネルは全国屈指の長さをもち,その工事は中央でも重視されていた。それを物語るものが,現存する両坑口上の碑石である。真幸駅側には時の鉄道院総裁後藤新平の「引重到遠」,矢岳駅側には逓信大臣山県伊三郎の「天険若夷」の献辞が刻まれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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