大口筋
【おおくちすじ】

鹿児島藩においては，街道のことを筋(すじ)と称した。当筋は宝永２年，出水(いずみ)筋とともに小倉筋の名称を改めたもの。当筋は鹿児島―加治木―横川―大口を通り，大坂・江戸への連絡は，通常豊前小倉に出て海路を利用した。鹿児島藩には領外に通ずる街道として三街道があったが，当筋はその１つ。他の２つは出水筋と高岡筋。当筋は幹線街道であったので，道中国境まで一里塚が設置されていた。宝永３年正月20日の覚に「鹿児島下町札辻より三筋通道他領境まで，一里毎に道程町木を立てる事」とある。またこれより前寛永10年６月幕府巡検使下向の時，36町１里ごとに竿を打って一里塚を築き，貞享２年９月禰寝清雄は，藩主綱貴からその修補を命ぜられたというが，これも三街道のことと思われる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7236818