100辞書・辞典一括検索

JLogos

18

高麗橋
【こうらいばし】


鹿児島市高麗町にあって,市内を南北に二分する甲突川に架かる五大石橋の1つ。弘化4年構架。4連アーチ型橋。全長55m。幕末,藩の財政立て直しを完遂した鹿児島藩は,さらに経済基盤を確立すべく,道路や河川などの整備事業に着手した。当橋もその事業の一環として架橋されたものである。藩は肥後の石工,岩永三五郎を招請し,この工事に当たらせた。当時としては数少ない円周率の知識を生かしてつくられたこの石橋は,4連のアーチからなり,中央の2連は径12.8m,左右外側のアーチ径は11.2mである。国道3号が分岐する加治屋町の交差点から,鹿児島湾沿いの工業団地,日石喜入基地,さらには観光都市指宿へと通ずる国道225号をつなぐ重要な橋である。かつて都市計画路線の障害になるという理由で,撤去問題が生じたが,由緒ある橋を保存しようとする人々の働きかけと,傍らに歩行橋が架けられたことから,ツタのからまる石橋は昔の姿そのままに,甲突川の水面にその影を映している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7237502