鳥越トンネル
【とりごえとんねる】

鹿児島市北部にある２トンネルの総称。国鉄と国道の２本のトンネルがほぼ並行する。地質は溶結凝灰岩。一方の日豊本線（単線）が通る鉄道トンネルは，長さ396m・高さ4.5m。明治32年８月着工，同34年６月開通。構造は円形アーチ煉瓦５枚巻厚（0.572m），鹿児島側の方が半径301.75mの曲線状をなしている。他方，国道10号が通るトンネルは，長さ367m。当トンネルが初めて計画されたのは昭和９年の陸軍特別大演習に際しての天皇来県によるものであったが，この時に実現はならなかった。昭和31年10月着工，同33年４月開通した。当トンネルの杭門口は，欧州の山岳トンネルに倣って，普通より２m広げて，ラッパ状になっている。これは，わが国では初めての設計である。当トンネルができるまでは，琉球人松碑のある海岸沿いの磯街道を通行していた。この付近には，磯島津邸・尚古集成館・異人館・祇園之洲砲台跡・東郷平八郎銅像など史跡が多い。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7238427