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天久宮
【あめくぐう】


那覇(なは)市泊3丁目にある神社。祭神は伊弉冉尊・速玉男尊・事解男尊。琉球八社の1つ。「琉球神道記」は天久権現とし,縁起を記す。昔,銘刈村に銘刈翁子なる者がいた。ある日,天久の野で銘刈翁子が気高き女人と法師を見た。彼が問うと,法師は山の中腹の洞に,女人は山上の森に住むという。このことを奏請したところ,王は事実を確かめ社殿を建てた。託宣に「我ハ熊野権現也。利益衆生ノ為ニ顕ルゝ也。女人ハ国ノ守護神,弁才天也ト」とあったという。正月元日・15日に官吏を遣わし,国王万歳・子孫繁栄・国家安穏を祈り,12月晦日には年籠りが行われた(由来記)。康煕42年(1703)9~10月に修築された(武姓大宗家譜/那覇市史資料1‐7)。天久宮は聖現寺の北に立地していたが,雍正12年(1734)聖現寺内に移建した(球陽尚敬王22年条)。道光17年(1837)フランス人が滞在していたため天久宮で行う正月元日・15日,12月晦日の典礼を長寿寺で行った(球陽尚育王10年条)。王府時代,神職は役俸を支給され,明治6年の「琉球藩雑記」では祝部2石・内侍1石5斗・宮童1俵とある(県史14)。縦2間半・横3間の本殿は昭和12年に老朽して倒壊し,神体は県立沖縄図書館に移された。同14年頃には,拝殿もなくなっていた。境内地1,163坪,耕地450坪があった(琉球宗教史の研究)。沖縄戦で消失し,昭和47年再建された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7239692