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内金城御嶽
【うちかなぐすくうたき】


那覇(なは)市首里金城(きんじよう)町3丁目にある御嶽。市文化財。首里城の南斜面中腹の崖下,旧内金城村のほぼ中央部に位置し,東側の大嶽と西側の小嶽からなる。「由来記」の真和志(まわし)間切茶湯崎村の項によれば,大嶽の神名はカネノ御イベ,別称モジヨルキヨノ大神,小嶽の神名はイベヅカサ御セジ。真壁大あむしられの崇べ所で毎年豊作祈願を行った。沖縄本島に流布する旧暦12月8日の鬼餅行事はこの小嶽に由来する。「由来記」によれば,昔,この御嶽背後の崖上に兄妹が住んでいたが,のちに兄は大里村に移り人を食う鬼となった。これを知った妹のオタアムは,崖上に兄を招き,まず鉄屑を入れた餅を用意してその餅を兄に食わせ,自分は米餅を食って兄を驚かせた。さらに妹はわざと裙裾を開いて兄の面前に蹲居した。兄に下の口は何かと問われた妹は,上の口は餅を食い,下の口は鬼を食うと答えたところ,兄は驚いて後ずさりしたはずみに崖下に落ちて死んだという。この由来から,村人は厄払いとして月桃やクバの葉に包んだ餅をつくり,小嶽に供祭するようになったと伝える。順治17年(1660)村人の勧進で大嶽の拝殿を創建した(球陽尚質王13年条)。このため俗にこの御嶽はフェーディン(拝殿)と称されたが,今はない。境内の大アカギは樹齢数百年で国天然記念物に指定されている。




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「角川日本地名大辞典」
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